井上氏講演会

地域づくり人づくりとは何か?

地域活性化の一般的な6パターン
井上弘司1)企業立地
工場誘致は、地域に愛情がないから業績悪くなれば撤退
2)国からの財源移転
地方分権は難しい、事業仕訳でますます困難になった
3)人材誘致
優秀な人材の獲得合戦になっており、ホントにイイ人材はあまりいないので取り合いになってる
だから、ひとりひとりできることを地域に生かすべき
4)内発型異業種連携
いま地域にある資産を組み合わせることが必要だが、それをコーディネートできる人材がいない
5)都市のGDP移転
交流事業を展開し地域外からの外貨の獲得を目指す
6)地域人材の発掘育成
地域において「学び」の土壌をつくることが大切

まちづくり、地域づくりはどうなった
地域づくりは意識の高い「行政マン」がやってきたことで、ほとんどの場合地域の人はやってない。だから、お金がなくなれば終わりというケースが多い。
イベントを地域活性化と勘違いしてしていることも多く、行政は動員数だけを気にしている。イベントは1回で終われず、回数を重ね、費用ばかりが膨れ上がることも。
不況になったら花火が減ったという事実も見逃せない。

地域づくり人づくりって何だろう?
・元気な住民をつくること~全員が100歳まで生きれば人は集まる
・生活を向上させる~元気で働ける環境があると思えば人は集まる
・マイナスをプラスに変えること~困ったことがあればビジネスチャンスに変わる
そのために…
・地域の宝を見つめ直す~あるもの探しによる意識改革
・逆転の発想や柔軟な構想づくり~全員で集落・地域の将来ビジョンを描く
・世界にひとつだけの地域をつくる~当たり前と思っている「もの」や「こと」に語り継ぐ資源がある

健康な地域になる → 住みたい環境は「人の魅力」

地域づくりの事例紹介

▼長野県飯田市~ツアーオブジャパン
・子供たちの中からオリンピック選手を出したい夢(井上氏)
・飯田市に自転車のホームタウンチームができた
・優秀な選手をツールドフランスに送りだしたい
http://www.toj.co.jp/

▼長野県飯田市~生活菜園
・ゆうき人(有機農産物生産者)+生活菜園(農産物直売所)+中心市街地商店で、行列のできるレストランに発展した。
http://www.tsk-s.net/

▼高知県葉山村~廃校になった校舎の活用
・自分たちでコンビニや宿泊施設をつくり、130名の山村に宿泊700名、来訪者3000名を誘客し十分な効果

▼石川県能登町~廃校活用
・廃校を民宿にして部屋をオーナー制度にして売ってしまう
・オーナーはそれを「貸し出し」て費用をまかなっていけている

▼奈良県明日香村~オーナー制で自治会費をまかなっている

▼岩手県奥州市~ドリームキッチンコロッケは成功した商品

▼宮崎県大崎市鳴子~お米のなみだ
・寒冷地でもできる「米」を開発~旅館に売り込み、それを旅館の売り物に

▼鳥取県岩美町~最年少は71歳「どんづまりハウス」

▼青森県大間町~Uターン女性が地域つくりの中心に
・「あおぞら組」は、Uターン女性「島康子」組長を中心に大漁旗の「旗振り」が観光イベントに。
・デザイナーの女性が、Tシャツやエコバッグを製作。エコバッグはQRコードで元(旗や網)の材料がわかる。
・面白いことは待ってもこないから「自分たちでしかけてしまえ」と始めた。

▼長野県上田市海野~中心市街地をつかっていろんなイベントをしかける

▼高知県四万十町~「孫おかみ」が農家民宿を再生

▼福岡県岡垣町~海の地産地消を実現した漁村レストラン「鮨屋台」
・ビュッフェ型レストランの「ぶどうの樹」農協に出荷できない農産物を回収

▼北海道札幌市狸小路~女性店長が頑張る道参食彩「HUG」
・地域づくりは女性が動き出すとホンモノになる、男性は理想を追うだけになりがち

▼北海道登別市鉱山町~鉱山からネイチャーセンターへ「ふぉれすと鉱山」

▼鳥取県智頭町~滝を自力でつくった豪腕カリスマ町長「みたき園」

▼愛媛県の直売所、「水都市」~西条市、「からり」~内子町
・どちらも年間7億円の売上、ジェラートアイスはヒットしやすい

▼ワーキングホリデーいいだ
・休日に無給で農業従事。
・男性は60代が最大ボリューム(36%)、熟年離婚により男性が田舎へ行く。
・女性は20代(30%)、30代(29%)が多い。農業経営をしたい女性は農家に嫁入り希望があり、嫁不足は感じない。
・ワーキングホリデーの2009年の実績は参加者が450人で2200日の無料労働が提供された。参加者がその後も強力なユーザになる。

地域づくりをするために

▼理解なきところは潰れる
●施設はできあがった日から老朽化していく
・客を扱う施設は1年目にピークで、年々、客足は鈍化する
・客リニューアルのための資金をその日から考える
●ブランドの旬は短い
・客顧客を主体に、地域ブランドを考える
・客真のブランドは地域の人が長年愛用してくれるもの
●組織は作った日から崩壊に向かっていく
・客組織ありきではなく、その組織の役目を常に自問自答する


▼何を考え、どう行動するか
●地域づくりに定石はない
・客暮らしたい、暮らしてよかった、暮らし続けたい地域にするために、将来のビジョンを創り共有する
・客自らの地域は地域特性を踏まえ、自ら行動して活性化するという意識を持つ
・客きちんと自己主張ができ、資源を最大限に活用した取組をする
●推進するための留意点
・客大前提は、楽しく進める、喜んで行動する。
・客誰かがやるだろうではなく、自分がやる。
そのために…
1)住民など多様な主体の参加
2)ビジョンの共有と責任の明確化
3)地域づくりの羅針盤となる指標づくり


▼まちづくりを維持するための戦略
・差別化する仕掛け
・持続させる仕組み


▼目指す地域の姿を共有する
・一人ひとりの考えを結集するために、50年、100年先の地域の姿を共有する


▼連泊滞在型観光がこれからのポイント
日帰り型から宿泊・滞在型に変化させることで落とすお金を増やす。
・連泊滞在、リピート客の確保
・地域自体の魅力アップ(=歩いて楽しいまちづくり)
・時間を楽しく過ごせるメニュー、プログラムづくり
・案内所の一元化と有能なコンシェルジュ
・周辺地域を結ぶ公共交通機関(2次交通)
・滞在型宿泊施設の充実


▼旅行先では食事が重要な要素
●食事場所で重視するポイントは?
・地元の新鮮な食材(73.2%)
・価格が手頃(64.0%)
・その土地らしい風景(48.3%)
・店の雰囲気(41.3%)
・ガイドブックで紹介(40.0%)
・地域色豊かなメニュー(38.9%)
●食事メニューで重視するポイントは?
・その土地の名物料理(68.1%)
・地元の新鮮な食材(67.9%)
・価格が手頃(66.2%)
・その店の名物料理(54.1%)


▼旅行者は地元食材には高いコストを払う
●地元料理にどの程度の付加価値を認めるか?
・2割増まで(34.8%)
・3割増まで(21.3%)
・5割増まで(15.9%)
地元食材の料理には2~5割増しでも抵抗は少ない。
また「おいしいもの」は100km圏内から集客可能。


▼目的がなければ客は来ない
・地域のコンゼプトを持ちましょう
・広域で戦うか、限定エリアで戦うか?
・既存の武器は何か、何を切り札にするのか?
・何とどことだれと競争してるか?
・誰を対象(ターゲット)として売るのか?


▼地域づくりハイブリッドカー
・行政=バッテリー
・地域リーダー=モーター
・個人・団体=エンジン
モーター(リーダー)によってエンジン(個人)が動き出せば、バッテリーに電力(お金)が戻って、次の駆動につながる。