幻の戦車「チト」はどこだ 浜名湖探査、街おこしに期待

■朝日新聞2012/10/29

朝日新聞旧日本陸軍が終戦直後に隠したとされる「幻の戦車」を探すプロジェクトが、浜松市の浜名湖近くで始まる。地元の若手グループが「街おこしにつながれば」と水中探査の様子を記録。来年2月には専門家を招いたシンポジウムも開く。
浜松市北区三ケ日町の若手らでつくる「スマッペ」(松崎哲会長)が探すのは「四式中(よんしきちゅう)戦車チト」。三ケ日町史では、旧日本陸軍は「米軍が遠州灘から上陸する可能性がある」として浜名湖北部に戦車隊を展開していたとされる。終戦後、米軍の目から隠すため、浜名湖と猪鼻湖(いのはなこ)がつながる瀬戸付近(最大水深約16メートル)にチトを沈めたとの言い伝えも残る。

朝日新聞「日本陸軍兵器」(新人物往来社)などによると、チトは全長6.3メートル、全幅・全高2.9メートル。75ミリ砲を搭載し、装甲も最大75ミリと厚い。戦車などの模型製造会社「ファインモールド」(愛知県豊橋市)の鈴木邦宏社長は「チトは試作段階で2両しか生産されず、千葉市内にあった1両は米軍に引き渡された」。鈴木社長は戦車隊技術兵だった地元男性が生前、「上官から『秘密兵器なので米国に渡せない』と言われた。湖の深い場所を探し、別の戦車2両と一緒に沈めた」と話すのを聞いたという。
「橋から飛び込めば戦車に触れるぞ」と聞かされて育った「スマッペ」事務局長の中村健二さん(52)は「三ケ日町に住んでいることの誇りやおもしろさを子や孫に伝えたい」と探査への思いを語る。
スマッペはこのほど一般向け説明会を開いた。11月に超音波探査の準備を本格スタート。ダイバーに潜ってもらったり、湖底を水中カメラで撮影したりする。浜松市も92万円の予算を組んで後押しするという。